第50話

「目を開けてくれよ!

いつもみたいに、冗談でした!って言って驚かせてくれよ」


ゼロスの顔を寄せると、冷たくなっていくのを感じてロイドの目から涙があふれた。







宿屋の二階にロイドが一人。ベッドに座っていた。


……コレットを助ける事ができた。

各階で危険な目にあったが、仲間を助けてくれたのは、クラトスだ。


……一周目はゼロスだったんだ。


フラノールでクラトスを選んで、


ゼロスが離れていった。


『輝石…壊してくれよな』


俺はゼロスの遺言(ことば)をまだ実行できずにいた。


ズボンのポケットに手を突っ込んで、何かを握るとその手を出した。

その手を返して開くと、丸い石が現われた。


『ゼロスの輝石』


それをまだ壊せずに、こうして持ってきてしまっている。


コレットを助ける事ができた。

けれど、彼を救う事ができなかった。


「……ゼロス……」


輝石を握りしめて、ロイドはそれを額に当てた。

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