明日への扉

第49話

からぁん…


辺りに乾いた音が響いた。


直後どさりと背中から床に倒れる紅い髪を持つ男。


「ゼロス!」

「ゼロス!」


彼の元に駆け寄ってくる足音と声が聞こえた。

しかしロイドは振り返らず、ただ一点だけを見ていた。


なんで…。


「なんでだよ!」


握った双剣の刃をつたって、ぽたりぽたりと紅い血が床に垂れ落ちる。


最後のはまるで、自分から斬られにきたみたいだった。




テセアラの世界に来てから、共に旅をしてきた仲間。

女の子には声かけてばっかだし、剣の手入れより自分を鏡で見てばかりだし、言葉にトゲがあったりするけど。


でも。


ゼロスのおかげで助かったこともあるんだ。




「輝石…壊してくれよな?」


悩んでるのは、わかっていたんだ。

でも、俺はわかってなかったんだ!


「ゼロス…っ!」


なんとか開けていた目が、ふっと途切れるように閉じた。

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