第45話

*展望台で*



フラノールの雪は止まない。サクサクと音をたてながら、クラトスは歩いていた。


間に合った…ようだな。


ふぅと安堵の息をもらす。

展望台に向かう階段の踊り場で立っていた人に尋ねていたのだ。

階段を上り終え、展望台に視線を向けた。


一周目は、あそこでロイドと神子が…。


「…父さん」


え?


久しぶりに聞いた、その呼び方。はじめは、自分のことではないと思った。


だが今の声は――…。


「ロイド?」


振り返ると、階段を駆け上がってきた赤い服で髪の毛を逆立てた少年の姿。夜であるのと寒いので息が白く映えていた。


どうして…?


「…よかった…クラトスがいてくれて」


声がはっきり聞こえる場所まで距離を詰めて、そこでロイドは足を止めた。


「…どういう事だロイド?

お前は記憶が―…」


「…あった」


「え?」

「俺…実は一周目の記憶はあったんだ」


ゆっくりと開いた口からは、意外な言葉が出てきた。

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