第21話

「ボク、アンタには負けないからね!」


時間(とき)は動き、止まっていたロイドも動き出した。


ヘイムダールへ戻る道を彼らとともに歩いていくことになった私を呼び止めた銀髪の少年。


それは、ロイドの親友・ジーニアスであった。


「…お前は」


「な、なにさ」


「お前はプレセアの事が好きなのではないのか?」


時々、ロイドの様子を見に行っている時に気づいた事だ。


それを言うと、ジーニアスは顔を真っ赤にして小さな声で


「そ、そうだけど…」


と先ほどの勢いは無くなり、恥ずかしそうに答えた。


「お前には、ロイドのライバルでいてほしいのだ。

プレセアを好きな者同士として、な」


ジーニアスの肩にぽんと手を置く。


ロイドとジーニアスは『恋のライバル』。


それに親が出る必要はない。応援する側にまわるのだ。


と、そう考えていた。


「はぁ!?」


すると、真っ赤だったジーニアスの顔は、違う意味で赤い。


それは怒りの。

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