第19話

「ロイドくーん♪」


「わぁ!」


ロイドを取り巻く仲間たち。その内の一人、ゼロスは彼の後ろから抱きついた。

それに小さく悲鳴を上げるロイド。


「離れろ、と言ったはずだが…?」


彼らに追いついたクラトスはまず、ゼロスの背に剣先を向け、ロイドから離れさせた。


つまらなそうにゼロスは、「ちっ」と唇を尖らせながら離れ、周りにいたコレットらも離れ、ロイドに近いのはクラトスだけになった。


「クラトス!もう動いても大丈夫なのか?」


「心配ない」


感情の読み取れない返事をしたが、内心嬉しかったり。


それは置いといて。


「きさまは、人前でよくあんな事ができるな!」

「あんな事ってぇ~?」

怒りをあらわにしてみたが、ゼロスは堪えてないようで両手を頭の後ろで組みながら言った。


「とぼけるなっ!と、……ん?」


クラトスは空気の変化を感じた。草や木の葉、ロイドの動きが止まっているように見える。


――否。動きは本当に止まっているのだ。


…これは『アワーグラス』のせいか?

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