第15話

「年収は600億ガルド以上で…」


……な?!

なぜ年収までロイドは知っているのだ?

見たところ、あのリーガルという男はべらべら素性を他人(ひと)に話すタイプではない。


…もしや、奴は伏線だったのか?


ゼロスに続いて、またもロイドを狙う輩が!


「好きな人は、アリシアって子なんだ!」


リーガルにジャッジメントを唱えてみたくなったが、ロイドの一言でそれは中断された。


「なんだ、好きな人がいたのか…」


「…そう。

好きな人がいるのね」


クラトスは胸を撫で下ろし、受付嬢はがっくりと肩を落とした。


「行くか…」


クラトスは小屋から離れ、その場を立ち去る。


「私が見守れるのも、これで最後だろう」


振り返り、小屋の中にいるロイドを見る。


「…ヘイムダールで待っている。ロイド」


羽根を出し、クラトスは飛び立つ。


見守れるのなら、もっと見守っていたかった。


だがそんな時間はもう無いのだ。


ロイドがその道を取ったのだから。


…それに私は応えよう…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る