06~10

第39話

06.不思議



「これは“霊樹”じゃな」


俺たちの学校『聖ルミナス学園・光風館』の横にあった、花を咲かせたことがなかった樹。


それが、こっちの世界にくる前に満開の桜の花を咲かせていたのだ。季節外れの。


その樹を“霊樹”と呼んだのは、ホウメイ。


“霊樹”は闇の者を退ける力があるという。


その話は不思議ではあったが、もっと不思議なのは…。




キリヤは霊樹に咲いた桜から視線をずらして、それに触れているホウメイを見た。


「ん?

なんじゃ?」


約三千年も生きているというわりには、外見は俺よりも幼いホウメイじゃないかなぁ?


「いや、別に…」


なんて、本人に言うと怒るだろうけど。

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