第38話
05.イタズラ
☆
ガサガサガサ
「…いっ!
ロウエン!待ってくれよ」
俺達は今、山岳地帯にいる。
『ここから違う匂いがする』と、草や枝を掻き分けて狼獣人のロウエンは、一人で進んでいってしまう。
それを普通の人間である俺が追いかけるのだが、肌が見えている部分に枝や草の葉先が刺さり、進むのをためらわせた。
ロウエンは狼獣人だから…いや、そんなことないよな。
キリヤは無理をやめ、ゆっくり追うことにした。
★
★
★
「見ろ、キリヤ!」
ようやく抜け出すと、ロウエンの声の調子が高かった。
彼の手には、細工の施された箱があった。
「これが、海賊の宝だ」
「これが…!」
この地帯はよく来てたけど、まさかこんなところに宝箱があるなんて。
「…もっとわかりやすいところに、あればいいのに」
「何言ってんだ。
これだからおもしろいんだろう?」
「…うーん?」
小さい頃なら、宝探しとかは結構好きだったけど、今はわからないや。
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