第36話
03.勘違い
☆
『キリヤ…どこにいるのよ』
いつも前向きで、泣き言を言わなかった彼女が、人目につかない岩影で見せた弱い一面。
『キリヤが居たって本当?』
オイラが異界の建物で出会った少年のことを彼女に話すと、普段オイラ達に見せている以上の笑顔を見せた。
「…てっきり、そうだと思ったんだけどなぁ…」
「ふぉふぉふぉ。
ダグはまだ甘いのぅ」
頭には金に輝く冠。
口がどこにあるかよくわからない、長くたくわえた白い髭。この村一番の物知りの長老は笑いながら言った。
「ヒトの心とは難しいものじゃ」
「ほらっ!キリヤっ
いつまでもボーっとしない!」
「いて!
シーナ、何も叩くことないだろっ!」
ダグの視線の先には、彼の頭を叩いたシーナと呼ばれた少女と、彼女に叩かれつつも後をついていくキリヤの姿があった。
「…仲がいいのは確かじゃがの」
「…うん。」
尻に敷かれてるけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます