第35話
02.緩やかな日常
☆
こんな風に思ってしまうのは不謹慎ですけれど…。
金色の長い髪。後ろの髪はウェーブが掛かっていて先を青いリボンで止めている女性は、座り慣れていないふんわりとしたソファに腰を掛けた。
隣にはまだ幼い顔立ちの少年も座っている。
……落ち着く。
普段女性は、細工の施された石造りの椅子で、もっと硬く冷たい椅子に座っている。
今でも、民を守ることに変わりはないけれど…、
ここはゆっくりと息がつける。
「姉さん…」
しばらく目を閉じていると、視線を感じて目を開いた。
隣に座っていた少年が顔を覗き込んでいたのだ。
「どうしたの、カリス?」
「城での凛々しい姉さんもいいけど、今の姉さんのほうが綺麗だ」
顔が熱くなるのを感じて、女性は横にあったクッションで顔を隠した。
「もう、カリスったら…」
正面切って言うのをためらってしまう言葉を、カリスは簡単に口にしてしまう。
でも。
「ふふふっ」
以前では得られなかったものが、今はあった。
カリスの元気そうな笑顔。
そして、等身大のわたくしが。
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