第21話

09.夜空を見上げて



「あした…か」

「…どうしたの、エルウィン?」


『うたう勇者亭』の二階にボク達は居候している。

窓から夜空を見ている彼女に気づき、シオンは毛布から抜け出した。


「なんか、寝付けなくて」


「ボクだって…」


ボクだって、そうさ。


明日、ボク達はシルディアの地下に行く。目覚めてしまった獣神を倒しに。


生きて帰れるかはわからない。不安なんだ。


シオンは左の人差し指にはまっている『双竜の指輪』を見つめる。


「でも、エルウィンと一緒なら、きっと大丈夫だ」


自分の手が震えている。


確証のない言葉。

気休めなのはエルウィンも気づいているだろう。


だけど。


「シオンがそういうなら、大丈夫かもね」


エルウィンは握っていた掌を開く。そこには『双竜の指輪』があった。


ボクのとエルウィンのはペアリングなんだ。

それを互いにつけると、力が湧いてくるんだ。


不安だ。


だけど彼女と一緒だから、


怖くない。

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