第22話
10.永遠の魂
☆
「いやぁ、17年ぶりだってのに…」
ハープを抱えた男は、目の前のベッドに座っている女性を上から下まで眺め見た。
「全然変わらないな」
彼女は魔女だ。
話によると1000年生きてるって話だが、外見は20代ぐらいにしか見えない。
女性は微笑んで、
「何言ってるの、クピード。あなただって、あまり…」
クピードと呼ばれた男は、エルフだ。
この種族も長命だが魔女ほどじゃない。
クピードは「いいや」と、首を振った。
「あの時の戦いで、弓を捨てたよ」
なぜとは問わず、女性は目を伏せた。
「…マキシマ」
17年前、戦いで戦友(とも)を失った。
彼女にとっても大事な男だったんだ。
「シオンがいるから」
「え?」
「彼が残してくれた、彼がいたという証。……それが、シオン」
ぎしり、ぎしり…
木で造られた階段が軋む音が聞こえた。振り向くと、鍋を持ってくる少年が上がってきたのだ。
「母さん、団長がお粥を作ってくれたんだ」
…そうか。
そうか、こいつが……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます