第6話
05「少しね。悔しい」
☆
「姉さん、まだ起きてたの?」
夜中、寒気を感じてボクは起きたんだ。
時計は2時を指していた。
キィとドアを開けると、姉さんと呼ばれた女性は音に気がつき、振り返って微笑んだ。
「ええ、資料をまとめていたの」
そう言うと、ふぅとため息をつく。
疲れたのかな?
「…姉さん?」
「大丈夫よ。
ただ…少しね。悔しいのよ」
「…悔しい?」
ボクは首を傾げながら訊くと、
「私に主導権があったら…ってそう思う事があるのよ」
「どうしてさ?」
すると、資料といっていた本を見せてくれた。
「ロイドったら、モンスター図鑑を完成させる気ないんだもの」
と言ってページを開いて見せる。…確かに余白が多い。
姉さんの本を持つ手はプルプルと震えている。
元々つり上がっている目がさらにキツくなる。
「私に……っ!私に主導権があれば、森の隅々、建物の陰…モンスターを捜し出してみせるのに!!」
ヤバっ!遺跡モードの姉さんだ!!
「お!おやすみっ」
危機を感じてボクは、夜中だというのを忘れて、バタバタと逃げ出した。
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