第5話

04「命と誇り、どっちが大事?」



「命と誇り、どっちが大事?」


剣を突き立てて、それに寄り掛かるように、なんとか立っていると、それに気づいた銀髪の女性は髪を揺らしながら、私のもとに来た。


「もう、あなたは…。

無茶をしすぎだわ」


手に持っていた杖を右腕の傷口に近づけ、詠唱をはじめる。

杖の先に付いた宝石が、キラリと光ると右腕から流れていた血がピタリと止まった。


痛みもなくなった。


「…すまない」


「みんな…旅は素人で、慣れたあなたに負担は大きいかもしれないけれど、キツい時は正直に言いなさい」


「……」


「せんせ~」


「姉さん!」


「先生!それにクラトス何やってんだよ~。

早く行こうぜ!」


遠くから私たちを呼ぶ声がした。


「今行くわ!」


それに反応したように、私から離れ呼ぶ声のもとに走って行った。



言葉はキツめだが、心配している。それはわかった。


「…ああ、わかった」


返事は聞こえなかったかもしれないが。

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