第84話
◆◆◆◆◆
家に帰るなり私は、自分の部屋のベッドにバターンと倒れ込んで額に軽くゲンコツを当て、はぁ〜っと大きく息をついた。
『猪熊の事、嘘だって黙っててあげるから、付き合ってよ』
にっこりと、爽やかなフリした悪魔の微笑みで言った万亀の顔が頭の中に蘇る。
あいつ……ほんとに本気なの?
たった一度、偶然にも通りかかった場所で、不良に囲まれてるのを助けただけ。
たったそれだけの事で万亀に付き合ってって言われるんだったらうちのクラスの女子達は──特に山野葵なんかは──喜んでその役を買って出てくれるわよ。
…………。
っていうか、
何をどうするつもりなんだろう。
学校の誰にも内緒というからには、表立って一緒にいるとか、そういう事はしないでしょう。
だって怪しまれちゃうもんね。
週末にどこかへ遊びに行くとか、それくらい?
そう考えると、割と大した事じゃないような気もしてくる。
…………ええい、なる様にしかならない!
考えるのはやめよ、やめ!
そう自分に言い聞かせて──私はベッドの上でふて寝したのだった──。
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