第69話

元気ににこにこっとしながらそんな事を言ってきた山野葵に──私は思わず、


「〜はあぁっ?!」


っと大きな声を上げる。


バスケ部員たちが──冬馬も含む──私の大声に『何だ?』ってばかりにこっちをチラ見したけど、そんなものはちっとも気にならなかった。


山野葵は……一応は多少なりとも私に気を遣う気持ちがあるのかどうか、バスケ部員達には聞こえない様にぼしょぼしょ声で、それでもテンション高く言ってくる。


「〜絶対いいと思うの。

幼馴染なんでしょ?

性格もよく分かってるし、たぶん尾瀬のやつ有馬さんの事絶対好きだと思うし!」


どーでもいいけど、あんた、たぶんなのか絶対なのかどっちなのよ?


それに、と続けた次の一言で──。


ようやく山野葵の本題・・が何なのか分かった。


「万亀くんよりさ、絶対有馬さんには尾瀬辺りがお似合いだって!

二人、付き合っちゃったらいーじゃん!」


言ってくるのに。


ああ〜、そういう事。


思わず半眼になりながら納得する。


つまりは私が冬馬とくっついちゃえば万亀が完全にフリーになる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る