第65話

スカートも短くしてるし、まぁ女子の校則違反の見本の様な人だ。


正直な話、この山野さんとはタイプが違いすぎてあんまり話した事がない。


そりゃもちろん同じクラスだし、おはようのあいさつくらいした事はあるけど、こんなにやたらに親しげにあいさつされたのは初めてだわ。


しかも呆気に取られてる暇もなく、


「有馬さん、おはよう」


「有馬さん」


「有馬さん」


……と、あちこちから親しげな──しかも女子限定──声をかけられ、わらわらと寄って来られて……これは……。


──何か、あるわね。


確実に。


そう予想せずにはいられなかった。


とりあえずは「おはよう、」と半分困り、半分愛想良く返す……けど。


困った事に寄ってきた誰もが、そのまま私についてくる。


その筆頭みたいになった山野葵が「ねぇねぇ」と親しげな声をかけてくる。


「今バスケ部が体育館で練習してるよ?

まだHRホームルームまで時間あるしさ、ちょっと覗きに行こうよ」


「は、はぁ?何で?」


思わず強くはならない程度の声音で突っ込む。


どーして私が急にわざわざバスケ部の練習を見に行かなきゃいけない訳?

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