第57話

私の横に追いついてきた万亀がパアッと爽やかな笑顔全開で私に挨拶してくる。


しかもその斜め後ろには、


「……猪熊さん、」


申し訳ないって言わんばかりの表情の猪熊さんがいる。


そしてそのさらにさらに後ろには、SP?って感じの男の人二人が辺りの様子を警戒しながら立っている。


おお〜い、これじゃリムジンより目立っちゃうじゃないの。


私の咎める視線に猪熊さんが頭を下げる。


「……申し訳ありません」


「リムジンはダメだって聞いたから、俺も瑠衣さんと歩いて学校に行く事にしたんだ。

朝の空気って爽やかでいいね」


のほほんと、そんな事を言ってくる。


って、違〜う!!


確かにリムジンはダメって言ったけど、SP(?)を連れて来いなんて私は一言も言ってないでしょ!?


ご近所の人達がこっちを見てSPを見て、何かをひそひそと言ってる。


そりゃ、こんなの悪目立ちするでしょうよ。


思わず片手で額を押さえる私の顔を覗き込んで、


「大丈夫?瑠衣さん。

頭でも痛いの?」


万亀が何気に心配そうに問いかけてくる。


いやいや、あんたのせいよ。

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