第49話
「……困ります」
言った声も本当に困ってる。
こっちを見つめる目も。
まるで可愛い子犬にものすごい意地悪をした様な、何とも言えない罪悪感……。
だけど、よ?
ここでこの罪悪感に負けてリムジンに乗り込んじゃうと、絶っっっ対に噂が立ち上る……気がするわ。
どうして万亀くん家のリムジンに有馬さんが乗り込むのよ?って。
このほんのちょっとの立ち話の間にも、もうぼちぼちと校舎から人が出て来てるし。
このある意味派手なリムジンの存在や、私や執事さんが話してる姿も、もう学校の幾人かには見られちゃってる。
ここはもう罪悪感に負けてる場合じゃないわ。
私は心を鬼にして猪熊さんの困り顔に、お得意の微笑みで切り抜ける事にした。
「大丈夫です、本当に。
もしこれで万亀……くんが猪熊さんを怒るような事があったら、私はもう一生あんたと口利かないからって私が言ってたって伝えてください。
何ならうちに電話してもらったら私から直接言うし。
ねっ、それなら猪熊さんも怒られることはないでしょ?
それじゃあ、この後もお仕事頑張ってください」
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