第48話
また人だかりが出来ちゃってるでしょーから、そうそうすぐには出てこれないとは思うけど。
思いながら言った先で、猪熊さんは温和そのものの表情で「いえ、」と答えてくる。
「帰りも有馬様をきちんと家まで送り届ける様
「……」
思わず、黙り込んで猪熊さんの顔をじっと見る。
猪熊さんはだけど何一つ気にする事なくにっこりと微笑んで見せた。
こーして微笑んだ顔は、恐ろしくカッコイイ。
って、いやいや。
そうじゃなくって。
私はこほんと一つ咳払いをして言う。
猪熊さんが微笑むので、私もにっこり笑って明るく答える事にした。
「──あの、大丈夫です。
いつも帰ってる道だし、まだ明るいし、私一人で帰れますから。
それに万亀くんと一緒のリムジンに乗って帰るとか、そんな事されちゃうと校内で色んな噂になっちゃうと思うし。
私、このまま帰りますので」
至って明るい口調でそう断っておく……と。
猪熊さんが、さっきまでの爽やかイケメンな微笑みからしおしおと弱り果てた様な、悲しげな感じできれいに整った眉尻を下げた。
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