第42話

ワヤッと囃すように言って冬馬の背中をボンッと叩いた一人の男子は──冬馬に壮絶なひと睨みをされて、さっきの勢いは何処へやら、そろそろと視線を逸らして手を冬馬の背から退けた。


まぁ、もうなんだっていいんだけど。


いいんだけど。


私の視界の端に──ごくごく一部の、女子たちがこっちをジロッとした目で見てくるのが映る。


もちろん全員って訳じゃないけど、でも。


これは……一番厄介で、面倒な事になるかもしれない……。


何だかそんな予感がした。


私は現実逃避する為に万亀から視線を外し、周囲のありとあらゆる視線からも顔を外して、机の上に肘を突いて片手で顔を覆った。


もしかしたら助けたカメは竜宮城のカメなんかじゃなく、ただのトラブルメーカーかもしれない……。

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