第40話

これはきっと、すぐに『万亀様に謝りなさいよ』『そーよそーよ』みたいな嫌〜な流れになる気がする。


そんな気がする。


ああ、もう。


ややこしい!


私は意を決して「あの!」と大きく声を上げた。


冬馬を睨み据えていた女子達も、『おお……怖』って顔でそれを静かに見ていた男子達も、万亀も冬馬も、クラス中のみんながはたとして私を見る。


私は言う。


「私、恋愛とか付き合うとか、今は全っ然、全く興味ないから。

大体私の好みのタイプは筋肉ムキムキマッチョ系だし。

一目惚れなんてものも信じてないの。

だからもう、この話はナシ!って事で」


一応言っておくけど、私の好みは全然筋肉ムキムキマッチョ系じゃないわよ。


どっちかっていうとジャニーズ系のが好きだし。


だけどこのカオスになりそうな今の状況じゃ、そうでもいうしかないじゃない?


『筋肉ムキムキマッチョ』はどっからどー見たって万亀とは正反対の特徴だし。


恋愛に興味ないとも言っておいたし、最後はズバンと話自体断ち切ったし、これでまぁ、(女子から『万亀様を振るなんて調子乗ってる』ってムカつかれる事はあるかもしれないけど)この場は収まるでしょ。


私の言葉に、辺りがし〜んと一旦静まり返る。


「筋肉ムキムキ、マッチョ……」


ぼそっと言ったのは、たぶん本気で信じたらしい冬馬だ。

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