第38話

っていうか……それより何より周りの視線が痛いんですけど。


私が返答に困りつつ万亀を見ると、万亀がにっこり爽やかに微笑んだまま私を見返す。


せめて『返事はいつでもいいから考えておいてね』くらいの事を言いなさいよ。


と、思うけど、どうやら万亀からそんな台詞は引き出せなさそうな雰囲気だ。


だったらしょうがない。


正直に答えるしかないわ。


『昨日会ったばっかだし、そんな風に見てはなかったから付き合いたいかどうか分からない』って。


そんな事言ったら周りの女子達から反感食らうかな?


調子乗ってる、とか思われそうな気もしなくはないけど、どっちにしても何を言ってもそう思われそうな気もするしね。


だったら正直に言ってそう思われてた方が気分がスッキリするわ。


私は覚悟を決めてみんなの視線が集中する中 声を上げる。


「〜き……」


と、私が万亀に向かって声を上げかけた……ところで。


バンッ、と私の前の席で、大きな音が上がる。


音の主は、冬馬だった。


どーやら自分の机の上を手でバンッと叩いたらしい。


何だかやたらに痛そうな音だったけど、当の本人は全っ然なんともなさそうだ。

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