第37話

し〜んと辺りが静まり返って──


「「「えええ〜!!!」」」


クラス中が大きな声を上げる。


冬馬に至っては目を大きくして心底びっくりした様に万亀を穴が開くほど見ている。


万亀は続けた。


「昨日俺、不良に絡まれちゃって。

瑠衣さんが防犯ブザー鳴らして助けてくれたんだよ。

頭が良くて機転も効くし、美人で親切で、男気もある。

一目惚れしました」


ちょっと照れた様にしながらも前半はみんなに向けて、最後はにこっと私に笑いかけて、そう言う。


けど……ん?


ちょっと待って?


『頭が良くて機転も効いて美人で親切』っていうのはいいとして……。


あれ?


今あんた、『男気』とか言わなかった?


私が本格的に考え始める前に、万亀は言う。


「俺と、付き合ってください」


爽やか〜に微笑んで、そんな事を言う。


周りのみんなの目線がそんな万亀から私の方へ移る。


そうして、誰も彼もが答えを待ってるみたいだった。


私の答えを。


喉がカラカラになる。


何かは言わなきゃいけないけど……何を言えばいいの??


昨日初めて会ったばっかりで、付き合いたいかどうかよく分からないし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る