第22話

なぁんて事を考えながら、私は体育館内を未だに見ているナキリにに〜っこり微笑んで言う。


「……そろそろ戻……」


りましょ……と言いかけた、その時。


半開きになってた目の前の扉に、いきなり『バァンッ!!』と激しくボールがぶつかってきた。


「わっ!」


「ひっ!」


ナキリと二人思わず声を上げて(ちなみに今回は「ひっ!」って叫び声の方が私だった)扉から後ずさった……ところで。


「悪ぃ悪ぃ……って、なんだ瑠衣か」


ある一人の男が失礼にも『なんだ』なんて言葉を使いつつボールを取りにきた。


「ちょっと、なんだとは何よ。

私に失礼でしょ」


思わず言い返すとそいつがへへへと笑う。


黒髪を短く刈り込んだこの男──うちのご近所さんに住む、幼なじみの尾瀬 冬馬(おぜ とうま)だ。


このちょっとの会話でも分かる通り中々に失礼なところのある無礼者だ。


冬馬はふとナキリの姿を見つけて、初対面にしては中々に失礼な感じでナキリを見下ろす。


見下ろすって言っても背の高さは冬馬の方がほんの若干高いかな?ってくらいだからそんなに『見下ろし感』はないけど。

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