第21話

体育館の中は今はバスケ部が朝練に使ってるらしく、ダンダンとボールを床につく音やキュッキュッと鳴る靴の音が聞こえている。


ちょっとだけ開いた体育館の扉から顔を覗かせて──ナキリが中の様子を見る。


私もちょっと離れた斜め後ろから体育館の中を覗いてみた。


ああ、やってるやってる。


今日も朝から頑張ってんじゃない。


っていうか、ナキリのやつ、バスケに興味でもあるのかしら。


確かに背丈はあるし、(ちょっとなよなよしい所を除けば)案外向いてそうな気はしなくもないけど。


でもやっぱりナキリにバスケのイメージはないかな。


どっちかっていうと運動部より文化部的な感じするし。


簡単にそう思いつつちらっと自分の腕時計で時間を見てみると、時刻はようやく8時を少し回ったところになっている。


そろそろちらほらと登校してくる人達も増えてくる頃だし、もうナキリを職員室(か、校長室)に預けて私も教室に行かなきゃね。


まぁ大丈夫だとは思うけど、私のカバンがちゃんと教室の私の席に届いてるかどうかもちゃんと見ておかなきゃだし。

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