第20話

何だかこれから先もナキリを他の生徒より優遇しそうな雰囲気もある。


優遇されて、そりゃ喜んだり当たり前だって有頂天になる人もいるかもしれないけど。


でも……。


それって結局、家の力な訳じゃない?


そういうの、ナキリは嫌じゃないのかな?


ふと、そんな事を考えてしまった。


……まぁ、そんなの私が気にする様な事じゃないか。


そう思い至って、私は頭の中を切り替える。


もう校内案内もほとんど終わりだ。


案内の最後に、朝練真っ最中の運動場と体育館を軽〜く巡って、それで校内のご案内は終わり。


後は職員室か校長室だかにナキリを送り届ければ私の任務も完了ね。


はぁ〜。


その後はいつも通りに授業か。


そっちの方がわりと憂鬱かも。


なんて事を考えながら体育館を外側から通りかかった所で──不意にナキリの足が止まる。


おっとっと。


ここまでナキリの足が止まる事なんかなかったもんだからちょっと油断した。


先を行きそうになった私は、ナキリに合わせて足を止めてちょっとだけナキリの方へ引き返す。

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