第19話

◆◆◆◆◆


靴箱のある玄関口から入っていって、私はナキリと二人、のんびり校内を歩きながら順に校内を案内していく。


ナキリも私と同じ一年だっていうんで、一年の教室のあるフロアや、図書室に音楽室。


情報処理室に視聴覚室、調理室、保健室……。


他にも色んな場所を案内していく私に、ナキリは余分な口を挟まずにうんうんと頷きながら大人しく案内されていた。


朗らかに……しかもどことなくうれしそうにしているナキリに、私はほんのちょっと小首を傾げる。


それにしてもこいつ……一体どういうお坊ちゃんなんだろう?


リムジンで学校に登校して。


運転手さんや執事さんがいて。


学校に来れば、校長から先生たちまで揃ってお出迎えをされて。


今まで身近にお金持ちな家系の人なんて見た事ないから分からないけど、ある程度のお金持ちともなればこれくらい当然なんだろうか。


でも……。


嫌じゃ、ないのかな?


学校に行くのにも家の人が(執事さんだけど。家の人って言ってもおかしくはないでしょ)ついてきて。


普通の生徒だったらそんな事は絶対ない様な、校長たちからの出迎えを受けて。

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