第15話

それにナキリはやんわりと微笑んで「ありがとうございます」と丁寧に応じて見せたけど……。


これじゃほんとに楽しい(……というか普通の)学園生活を送れるのかどうか怪しいところね。


っていうか。


私はナキリを、ほんのちょっと首を傾げて見上げる。


──編入生、だったんだ。


そういえばナキリの姿、確かにこの学校で見かけた事もなかったかも。


まぁ、全校生徒の顔や名前を知ってる訳でもないんだけど。


と、ナキリの斜め後ろに控えていたイケメン執事がそんな校長に至って平静に声をかける。


「──では、編入手続きを、」


「あっ、ああ、そうでしたな!

ではご案内します」


さすがの校長も執事さんの平静さにちょっと我を取り戻したみたいね。


とりあえずこれで私もお役御免だわ。


なんとなくホッとして息をつくと、


「じゃ〜瑠衣〜、お父さん行ってくるよ〜!」


お父さんが──たぶん私に『行ってらっしゃい』って言って欲しいらしく、わざわざリムジンの窓を開けてもらって、手を大きく振りつつ言う。


〜まったくもう……。

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