2. 学校にて

第5話

翌日の朝──


「ちょ、ちょっと瑠衣、起きなさいっ!」


お母さんが慌てふためいた声で言ってくる。


なによ〜……。


普段起こしにきたりしないじゃない。


ちゃんと時間になったらいつも通り起きて用意してリビングに行きます〜。


そもそもアラームもまだなってないし。


今何時よ?


「うぅぅ……」


しょぼしょぼする目を擦って「なに〜?」と寝ぼけ半分に返すと、お母さんが「リムジンが」なんて意味不明な言葉を口にする。


そーして興奮しきった様にきゃーっと先を続けた。


「リムジンがうちの前に止まってるのよ〜!

お父さんが新聞取りに行く時に見つけてね、しかも声をかけたら、『瑠衣様のお迎えに上がりました』だって!

あんた昨日ナキリさんとこのお坊ちゃんを助けたんだって?

『同じ高校であらせられますし、昨日の今日ですから親御様も娘さんの行き帰りが心配でしょう、良かったら御一緒にいかがですか?』だって!

も〜お父さんたらびっくりしちゃって新聞も取らずに戻ってきちゃったのよ!

リムジンの方はゆっくりとご準備頂ければ結構ですとか言ってたけど、そんな訳にはいかないでしょ?

お待たせしてるんだから早く準備して頂戴」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る