第3話
一瞬その内の一人は私からブザーを奪い取ろうって考えたみたいにこっちに足を踏み出しかけたけど、私が鳴り続けるブザーを思い切り遠くの茂みに投げ込んだからか、思い留まって逃げる方向にシフトしたみたいだった。
「逃げろ!」「ヤベッ!」
と声を上げながら不良達が逃げていく──やれやれ。
河川敷の上道に、人だかりが出来つつある。
私は不良達が十分逃げ切ってもう戻ってこなさそうなのを見て取って、茂みに落ちたブザーを拾いに行く。
丁度その間にブザーは止まったんだけどね。
ありがとう、防犯ブザー。
あんたは私のヒーローよ。
密かにそんな事を思いつつ、私は壁に背を預けてその場にへなへなとへたり込んでしまった男子学生の元まで戻って手を差し伸べてやる。
「大丈夫?」
問いかけると男子学生が私を見て──電撃を打たれた様にそのまま止まってしまった。
まるで一目で恋に落ちちゃった、みたいなそんな顔。
まぁ、この私の可愛さを目の当たりにしちゃあ誰だってそうなっちゃうわよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます