第91話
◆◆◆◆◆
俺はにっこり笑って階下のリビングに待つ三人の男どもの前に出た。
もちろん俺の姿は変わらず“かわいい”リアのまま。
変わったのは俺の脇を心底嫌そーな顔でトコトコ歩いてきた、犬カバだ。
ラビーンとクアンが きょとん と、ダルに至ってはびっくりした様な顔で、俺の足元に止まった犬カバを見る。
俺はにっこり笑顔でラビーンとクアンに犬カバを紹介した。
「うちのペットの、犬カバちゃんよ。
黒い毛並みが かわいいワンちゃんなの。
一人でお留守番なんて心配だから一緒に連れていってもいいかしら」
言うと、ラビーンとクアンがそれぞれに
「…かわいい、」
「…ワンちゃん」
と、気になるワードを打ち出してくる。
「まぁ、もちろん俺らは構わねぇが」
ラビーンが半ば戸惑いながらも承諾する。
その、横で。
「リッ……。
リア、それ……?」
リッシュって言いそうになるのをやっと飲み込んだみてぇにダルが言う。
俺はそいつに軽いウインク一つで返した。
ピンクの不細工な犬カバがやたらに目立つのは、そいつの毛並みがピンクだからだ。
だったら黒にしてやりゃあ街をうろついたって犬カバとは誰にも気づかれねぇはずだ。
“若奥様の部屋”にあった何かのクリームに黒のインクを混ぜて犬カバの毛並みに櫛で塗りつけただけだから、濡れれば取れるかもしれねぇが、今日は雨も降ってねぇし まぁ問題ねぇだろ。
ダルがそれでも納得いかなそーに俺を見てきたが、俺は気にしねぇ事にした。
「さあ、それじゃあ皆でカフェに行きましょうか」
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