第86話

おいおいおい!


せっかくの申し出を断るつもりかよ!?


俺は慌ててダルの部屋の戸に手をかける。


──が。


「いーや。

俺ら二人とも、好きでする事なんだ。

リッシュ探しなんぞ片手間で出来らぁ。

とにかく今回の、この依頼だけでもいい。

リアちゃんの為に、俺らが探してきたギルドの依頼、どーか聞いてくれ!」


男気溢れる口調でラビーンが言う。


ダルは困ったように少しの間沈黙してから──


「──分かった」


吐息をつく様に返事する。


よしよし!それでいーんだよ。


ダルの部屋の戸から手をそっと離して、俺は うんうんと一人静かに頷く。


ラビーンとクアンはダルの言葉にパッと頭を上げて、ダルの両手を取った。


「~よく言ってくれた!

これから一緒にリアちゃんを支えていこうな!」


ラビーンが言うのに微妙に嫌そうな顔をしながら、ダルが二人の手をやんわり解く。


ラビーンもクアンもそこには全く気づいてねぇらしく、話を続けた。


「それで、依頼だが──…ダルくん、市街のカフェって行った事あるか?」


──…市街のカフェ?……って、確かダルが言ってたウェイトレス募集してるとか言う、あのカフェの事か?


まさか安心・安全・高給って、ウェイトレスの事じゃねぇよなぁ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る