第85話

「おうよ。

けどよ、あの弟想いの健気なリアちゃんが、俺らが止めたくらいで思い留まってくれるか、自信がなくてな。

きっと無理してダルくんの依頼を手伝おうとするんじゃねぇかと思うんだ」


「それでさ、俺ら二人で考えたんだよ。

これからはダルくんとリアちゃんに、危険がなくって割のいい依頼を、俺らで選りすぐって見つけて持って行こうってな」


へへ、と笑ってクアンが言うのに……俺は柄にもなく じーんと感動して犬カバをギュッと抱えた。


犬カバは迷惑そーに見上げてきたが。


ま、犬カバにはこの男気、分かんねぇだろーよ。


ホレた女(ま、そいつが俺ってのがなんとも言えねぇが)の為に、そこまでしてくれるとは!


片手の人差し指でこっそり感動の涙さえ拭った俺を、やっぱり犬カバが迷惑そうに見上げてくる。


「ダルくんの目指す一攫千金とはちっと遠いが、これでも安心・安全・高給な依頼を見つけてくるつもりだ。

もちろん依頼主の身元も俺らが保証する。

全てはリアちゃんの為だ。

ここは一つ、試しに今回の依頼の内容だけでも聞いてくれ!」


ガバッとラビーンが頭を下げる。


一足遅れてクアンの奴も、ダルに向かって頭を下げた。


こーなると困ったのはダルだ。


「二人共、頭を上げてくれ。

それに申し出はありがたいが、二人にこんな事をさせては気が引ける。

二人ともリッシュ探しに忙しい身の上だろう?

私やリアの為に、毎度依頼を探させるなんて……」

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