第84話
◆◆◆◆◆
俺は犬カバを抱いたまま静かにダルの部屋の前で聞き耳を立てていた。
閉め切り損ねたらしく、わずかに開いたドアの隙間からダルやラビーン、クアンの姿が見える。
最初に口を開いたのはダルだった。
「──それで、私に話というのは?」
やんわりとダルが聞く。
それに ああ、と勢い込んで返事したのはラビーンだ。
「実をいうとな──…俺ら二人、君の姉さん……リアちゃんの事を、心底心配してんのよ」
ラビーンが深刻そうに言うのに……俺は思わずいぶかしんで眉をひそめた。
「ほら、今回のギルドの依頼。
そう害はねぇと思って、俺らリアちゃんを止めなかったろ?
けど実際にはリアちゃんはぶっ倒れちまって、二週間近くも寝込むことになっちまった。
俺もクアンも責任感じちまってなぁ」
しみじみと、ラビーンが言う。
それに口を開いたのはダルだ。
「だが、あれはリア自身の意思で動いた事だ。
二人が責任を感じる必要はないと思うが」
やんわりと、口調も優しくダルが言う。
それに「いや!」と勢いよく立ち上がったのはクアンだ。
「俺らがあそこで意地でもリアちゃんを止めていれば、リアちゃんをあんな辛い目に遭わせずに済んだんだ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます