第82話

ダルに“犬カバはうちで預かる!宣言”をされたのは、丁度二週間前。


臭いのせいで病気みてぇに へろへろしてた俺は、同じく外に出られねぇ犬カバと何度も何度も小競り合いしつつも、どーにか家の中だけで生活していた。


その間ダルはちょくちょく街に出たりしてたみてぇだが、案外タイミングよく(悪く、か?)帰ってきて、俺と犬カバの小競り合いを止めたりすんのが日課みてぇになっていた。


ともあれ俺もよーやくあの強烈な臭いから解放されて、今日は外に出るぜ!と勇んで“リア”の格好になったらこのザマだ。


内心やれやれと思いつつも、俺は花束を持ったままラビーンとクアンに向かう。


「丁度そろそろね、私もまたギルドに顔を出そうかなって思ってたところなの。

ダルちゃんもやる気満々みたいだし、私も頑張らなくっちゃ。

二人ともまだギルドには足を運んでるのよね?

何かいい依頼とか来てなかった?」


聞くと──ラビーンとクアンが互いに顔を見合わせる。


そうして二人、こくりと頷き合ってから。


俺に顔を戻して口を開いたのはラビーンだ。


「あー、その事でちぃとダルくんと話したくってな。ま、男同士の話ってやつだ。

ダルくんはいるかい?」


聞いてくる。

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