第80話

「それだけ息が合うのだから、仲良くやっていけるだろう。

世間から身を隠して生きていかねばならない者どうし、助け合う事を覚えなければ。

どうやらここは、そういう者ばかりが集まる場所らしいのだから」


言ってくる。


……そういう者、ばかり?


まるでダルもその一員だって言うような言い方だ。


街での様子を見てる限り、ちっとも“世間から身を隠して生きてる人間”には見えなかったが。


思いつつ、俺は大きく肩をすくめた。


ま、ダルの過去なんかに別に興味はねぇや。


当のダルも、そんな俺には構わず さっと階段を上がって行く。


残された俺と犬カバは、ちらっと互いに目をやってから、


「けっ、」


『ブッフー』


顔を背けて互いに離れる。


それにしても、世間から身を隠して生きてかなきゃならねぇ者どうし、か。


ダルじゃねえが、全く妙なインネンのある家だぜ。

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