第79話

「あぁ?言いつけを守って?

この犬カバに んな高度な事が出来るかよ。

偶然ダルの言う事聞いてるよーに見えてるだけだっての。

じゃなきゃミルクにつられて大人しくしてるだけだろ。

このブサイクな生物のどこに“賢い”なんて知性があるってんだよ」


へっ、と鼻で笑って言ってやると、犬カバが『ブッ』と短く鼻を鳴らして四つ足で立ち上がった。


「おっ、何だ犬カバ。

俺とやろうってのか」


ガタッと俺も椅子を引いて立ち上がり拳を作る……と。


「~二人共、いい加減にしないか!」


ピシッとダルが声を上げた。


俺と犬カバが揃って不意を突かれた所に、ダルは俺らの顔を交互に見やって言う。


「お前たちに話していても埒が明かない。

もういい、私が決める!

犬カバはうちで預かる!以上だ!

二人共仲良く出来ないならこの家から放り出す」


一も二もなく、ダルが言う。


「おいおい、ジョーダンじゃねぇ!

ここは俺の家……」


『ブッフ!』


俺と犬カバ、二人(いや、一人と一匹、か)揃って抗議しかける……と。


ダルはトン、とテーブルに両手をついて立ち上がり、フイッと俺と犬カバをムシして階段の方へ向かった。


「おい!」


『ブッフー!』


二人揃って呼びかける……と、ダルは顔だけをこっちに向けて言う。

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