第72話
一応俺にも相談したいから答えを保留にさせて欲しいと申し出たダルだったが、
「何か慌てていた様で…無理矢理話を終わらせて、そのままこの子と一緒に追い出されてしまった。
とにかく今日はまっすぐこのまま家に帰って、この子を誰にも見せないようにしてほしいという事だ。
追い出される時も、この子に布をかけられたし……とにかく依頼を請けた時とは、様子が大分違っていた。
もちろんこの子の今日の分の滞在費は別口で払ってくれるらしい。
リッシュが言うことも分かるが……仕方ないだろう?」
ダルが言ってくる。
俺は……吐き気にぐるぐるする頭で考えた。
店主の奴、何考えてんだ?
依頼を請けた時は、んな話これっぽっちもしてなかった。
むしろ「早く見つける」と言った俺に「お願いします」とまで言ってやがったのに。
誰にも見せないようにしろだの外には出すなだの言うのも何か引っかかる……が。
今のこの体調じゃ、まともに考えられる気がしねー……。
俺は「とりあえず明日考える」と返事にもならない返事をして、そのままずるずるとベッドの中に潜り込んだ。
フロに入ってから寝たほーがいいのは分かってるが、動ける気は全くしなかった。
フロも考え事も、とりあえず全部明日だ。
「それから───………」
ダルが何か続けている……が。
その声はどんどん俺から遠ざかって──…結局何を言っていたのかさっぱり分からない内に、俺はまたぐったりと眠り込んでしまったのだった───。
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