第68話
俺はダルに倣って静かに少し頷くと、そろそろとその場から足を退いた。
ゆっくりゆっくり、犬カバがビビって逃げ出したりしねぇ様に。
ダルも物音を立てねぇ様にゆっくりその場から立ち上がると、俺の後に続く。
俺とダルがそうやってすぐ近くの建物の影に隠れた……所で。
ハッとした様に犬カバがきょろきょろ顔を動かし、辺りの様子を伺い始めた。
どーやらミルク皿にしばらく気を取られてて、俺らがいなくなったのにも気がつかなかったらしい。
犬カバが、それでも くんくん、と鼻っ面を地面にやりながら(どーやら警戒しながら)ミルク皿に近づいていく。
俺はダルに目線で合図してから、建物の後ろを回り込んで、そのままダルがいる方とは反対側の建物脇に出た。
丁度、俺が犬カバの背後を、ダルが前方を陣取る位置取りだ。
犬カバは、大人しくミルク皿に辿り着いたらしい。
こっからじゃ尻しか見えねぇが、その尻がうきうきと、右に左に小さく動いてるとこを見ると、とうとうミルクを飲み始めて上機嫌になってるらしい。
俺は様子を見ながらゆっくりとそんな犬カバの後ろ姿に近づいていった。
そして、未だにミルクに夢中になってる犬カバの真後ろまで来ると。
ガバッと勢いよく犬カバを両手で掴み上げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます