第62話
店を出てすぐ、ようやくあのひどい臭いから解放されてから、俺は大きく一つ新鮮な空気を吸った。
そうしてゆっくり吐いてから、後から出てきたダルに目線をやって言う。
「にしてもあの臭い。
お風呂入ってないのかしらねー、あの人」
丁度通りかかりそうな人がいた為に、女言葉のまま言う。
ダルはそれには答えず、さらっと俺の言葉を流して言う。
「ところであの い……、あの子を探す場所の見当はつけたのか、リア」
ダルのやつ、俺のつけたあだ名につられて「犬カバ」って言いかけたな。
思ったが、あえて突っ込むのもめんどくせぇ。
すぐ近くをゆっくり歩いて通る婆さんを横目にしてから、俺は肩をすくめて見せた。
「もちろん。旧市街を片っ端から、でしょ。
市街地の方もある程度聞き込みして回った方がいいんでしょうけど、今までピンクの生物を見たって騒ぎにはなってないみたいだし、私はミルク片手に旧市街を探す方が可能性はあると思うわ」
言うと同意見とばかりダルが頷いた。
それを眺めて俺は「じゃあ、」とにっこりして見せた。
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