第59話
ダルがカウンターの小男に向かって言う。
「忙しい所すまない。
依頼の件で2、3確認したいことがあって来たんだが」
ダルの言葉の後に、後ろから俺がひょこり、店主の方へ顔を覗かせると、店主が『おお』という様に目を見張った。
こんなボロの見世物屋にこんな美人の女の子が来たんで驚いたらしい。
店主は はいはいと二回も頷いて言う。
「あなた方が私の依頼を!
いや~、しかしまさかこんなに若くて美しいお嬢さんがギルドの冒険者とは驚きですな。
実に素晴らしい!これからはもっと贔屓にさせてもらわなければなりませんなぁ」
俺の女装にすっかり騙された店主がでれでれしながら言う。
ダルは少し白けた目でそんな店主を見ていたが、俺は気にしないことにした。
にっこり笑顔で店主に言う。
「ありがとうございます。
それでは早速……」
言いながらカウンターの方へ近づこうとすると、店主がカウンターの内側で突然 ひょい、と一歩後ずさった。
「?」
俺はいぶかしんで店主を見た。
もう一歩俺が前に進むと、店主はさりげなくもう一歩後ろへ下がる。
もう後ろの壁にくっつかんばかりだ。
二度、目をしばたいて店主を見ると、店主がひきつった笑みで返した。
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