第56話

◆◆◆◆◆



「さて、まずはどっから探しましょーかね?ダルちゃん?」


ギルドから出てすぐ、街の往来を軽く見渡して、俺は例の手配書を片手に、隣に並んだダルに声をかける。


ダルはそれに心底嫌そうな顔をして「その呼び方はやめろ」と一言返してくる。


そうして軽く息をついて視線を横に流した。


「まずは依頼主に会ってみないか?

探す前にその動物の事について少し話を聞いておいた方がいい気がする」


言ってくる。


ダルの流し目に丁度当てられたように、目の前を横切ったかわいい女の子二人組が、顔を赤くしてダルに見とれて通りすがってく。


俺だって……こんな姿じゃなきゃ……。


思いはするが、ま、言っててもしょーがねぇな。


俺は軽く息をついてダルの意見に賛成した。


「……ああ、まあそーだな。

あんなちっちぇえ羽根でも空とか飛べるってんなら探す範囲も大分変わるしなぁ……。

どーいう場所を好むのかとか、色々聞いとくと探すの楽だしな………っていうことが言いたいのよね、ダルちゃん」


にっこり笑顔で口調を軽く訂正して言う。


あぶねーあぶねー、ついいつもの男口調が出ちまったぜ。

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