第54話

この賞金首の話は、(自分で言うのもなんだが)中々おいしい話だし、誰にでも勧めはするってだけの話かも知れねぇし……。


けど、あのじっとりとした目だ。


俺が返答に窮する中、声を発したのはダルだった。


「──いや、どうせ奴は方々から狙われているんだろう?

こちらより先に誰かが捕まえてしまうだろうからな。

マスター、他の依頼は何かあるか?」


聞く。


マスターは ふん、と一つ鼻で息をついた。


そしてある一枚の紙をカウンターに出す。


その紙には、ある奇妙な動物の絵が書かれていた。


頬っぺたの膨れた犬みてぇな面に、小さな四つ足の、小さな胴体。


全体的にピンク色で、犬か小型のカバみてぇな様相だが、背中には小さな翼が映えてやがる。


こんな小さな翼じゃ空すら飛べねぇだろうに、不恰好もいいとこだ。


「──これは?」


ダルが聞くと、マスターが トン、と犬カバ(と名付けることにした)の絵の下の方を指差す。


そこにはこんな文面が書かれていた。


『見世物屋より脱走の為、捕獲願う

賞金 五万ハーツ

必ず無傷で捕獲の事』


……五万ハーツか。

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