第52話

ダルが怒りにか驚きにか口をパクパクさせる中、グラサン二人が互いに顔を見合わせて、困ったような表情を見せる。


ま、ダルはもちろんだが、グラサンたちの言いたいことも大体分かる。


いくらダルの手伝いとはいえ、ギルドの仕事は危ないからリアちゃんはやめた方がいいってな。


だがここで止められると少し面倒だ。


俺はその誰の意見も聞かず、ダルの向きをくるっと変えてギルドのカウンターの方へダルを押す。


「それじゃあラビーンさんもクアンさんもお仕事頑張ってね。

じゃあまたね」


それだけを言って、とっととカウンターの方へ向かう。


ラッキーなことにラビーンもクアンも、俺の邪魔をすることはなかった。


ただし、


「──おい、リア」


ダルが小さく俺に文句を垂れる。


俺はそれに軽く言い訳することにした。


「だってああでも言わねぇとあの二人に止められちまうだろ。

取り分は5・5でいいから二人で依頼、請けようぜ。

ダルは腕も立ちそうだしさ、俺もがんばるから。な?

それにほら、一人だと何かあった時助けも呼べねぇだろ?

二人でコンビ組んだほーが絶対ぇ得だから!」


ダルの怒りを収めるように下手に出ながら小声でいう。


ダルが はぁっと怒りを吐き出すようにため息をつく。


俺はそれをオーケーの返事と決めてダルと共にギルドのカウンターの前に立つ。

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