第50話

「ラビーン……」


顔に似合わない名前だったから、印象に残ってる。


と、ラビーンの後ろからひょいっともう一人グラサンオールバック男が現れた。


こちらも感激したように「リアちゃ~ん」とうれしそうに手を振ってくる。


こっちはラビーンの部下、クアンだな。


俺は──思わず苦笑しそうになるのを耐えてにっこり微笑んでやった。


「二人してどーしたの?こんなところで」


上手い事 裏声で、聞いてやる。


ダルがグラサン二人にだろう、呆れたように息をついて腰に手を当て二人を見た。


口を開いたのはラビーンだ。


「いや~、こんなとこでリアちゃんに会えるとは思わなかった!ラッキーだぜ!

ほら、俺らリッシュ・カルトって子悪党を探してるって言ってただろ?

こっちに何か情報来てねぇか確認に来たのよ。

ま、結局何の情報もなくて今帰るとこだったんだけどよ」


は、はは……。


そりゃ何よりだぜ。


俺は内心をきっちり隠したまま、にっこり微笑んだままで「そうなの」とだけ返す。


「そういうリアちゃんは?

何か困り事かい?」


クアンの方が聞いてくる。


何かあるなら俺が助けるよ、と言わんばかりだ。


ま、ほんとの所 賞金首になっちまってお前らに追われて殺されかけそーだからそこは助けてほしいトコだけどな。


んなこと言える訳もねぇから、代わりに ううん、と首を横に振る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る