第44話

「~って、ちょっと待った、そーいうダルはどうなんだよ?

見たとこそんなに金に困ってるよーには見えねぇけどよ、何か割のいい仕事でもしてんじゃねぇのか?」


聞くと、ダルが「割りがいいかどうかは分からないが」と前置きして言う。


「ギルドに立ち寄って仕事を探す時はある。

あそこには色々な依頼が来るから……」


言うのに。


俺の頭の中でピーンと思い立つものがあった。


「~それだよ、それ!

俺がしたいのはそーいう仕事だよ」


「だが、リアのままで出来る依頼となると、かなり絞られるぞ。

簡単なものはどれもさほど報酬額はもらえないし……」


言ってくるのに、俺はフフフと笑って見せた。


そうしてチッチッチッと人差し指を振ってやる。


「見た目はか弱い女の子だけどよ、中身はこの俺、リッシュ・カルト様だぜ?

ま、人前でこの俺の腕前を見せる訳にはいかねぇかもしれねぇけど、やれる依頼はかなりあるはずだぜ。

それこそどこぞに雲隠れしてる賞金首でも引っ捕らえるとか」


言ってやると、ダルが不安そうに俺を見る。


「……出来ると思うのか?」


「ま、出来るかどーかはやってみなけりゃ分からねぇだろ。

お前が言ったんだぜ。

まぁ暇があればウェイトレスも合間にやってもいいかもだけどな」

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