第41話

「んじゃまぁ早速食べよーぜ。

腹減っちまった」


ダルが「ああ」とうれしそうに返事した。


そうして食べモンを前に手を合わせ、神妙に祈りを捧げる。


はぁ~、まったく丁寧なもんだぜ。


俺は普段から んな面倒な祈りなんかしねぇぞ。


ま、祈ったら何かいー事があるってんなら話は別だけどよ。


俺は大人しくダルの祈りが終わるのを待つ。


そうやって十分な祈りを捧げてからダルが始めに手をつけたのはスクランブルエッグだった。


この家に元々あったフォークで、スクランブルエッグをすくって口に運ぶ。


そして──。


パッと俺を見た。


すみれ色の目がキラキラと輝いている。


「───おいしい」


意外そうに、そうつぶやいた。


俺はヘヘンと笑って自分のトーストにかじりつく。


「当たり前だろ。

つーかスクランブルエッグくらいで感動しすぎだっての」


「そうだろうか?」


「おう」


言ってやる。


こいつ、こんなに俺の簡単料理に感動するなんて、どんだけ飢えてんだよ?


身なりが んなに悪いって訳じゃねぇが、もしかしたら相当な苦労人なのかもな。

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