第27話
◆◆◆◆◆
それから数十分後──
グラサン男二人がきちんと一階のテーブルや椅子を直し、さらに家中をきれいに整えて帰ってから───
「──…で?」
と、ダルクはいい放った。
途中、こいつを追い出す機会もタイミングもなく、放って置いたらいつまでも居座って今に至る。
グラサンたちはこいつの存在に気づきつつも、あえて口を挟んではこなかった。
弟かなにかと思ったのかもしれない。
俺は──冷や汗を垂らしながら、ダルクにひくりとしながら笑いかけた。
「──え?」
「リッシュ・カルトはお前なんだろう?
女装までしてここにいるというのは、あいつらを撒くためだったんじゃないのか?
生死問わずの賞金首、らしいからな」
……あっちゃー……、やっぱバレるか。
けど、もしかしたらまだ乗りきれるかもしんねぇ。
俺はにっこり微笑んで言う。
「やだ、ダルったら、何言うの?
こんなかわいい女の子に向かって女装だなんてひっどー…」
い、まで言おうとした俺の首元に。
フッ、と剣の鞘の先が突きつけられる。
俺は思わず固まって、ダルク…こと、ダルを見た。
冗談の通じない、冷た~い色に光るすみれ色の目。
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