第23話

ドタドタドタッと、階下で音が鳴り響く。


「オイコラァ!

リッシュ・カルト!ここにいるのは分かってんだぞ!

出て来いやぁ!!」


すさまじい怒鳴り声。


足音は二つ。


完璧にがっしりした体型の男たちだ。


俺は──さぁーっと血の気が引いていくのが感じられた。


なっ、何でここにいるのが分かった!?


俺が口を開けたまま固まっていると、


「リッシュ……カルト……?」


ダルクが怪訝そうに呟き、俺を見た。


何秒も何秒も俺を見てから。


「……リア?」


問いかける。


俺は口を間抜けに開けたまま、イスから立ち上がることが出来ずにいた。


ドカドカと、足音が階下を歩き回り、椅子やらテーブルやらを凪ぎ払う音が聞こえる。


足音はそれから二階へ上り、そして──


階段を、上がりきった。


ダルクが腰に下げた剣に手をかけながら、そちらを振り向く。


「何だ、てめぇ」


向こうから低く地鳴りするような声が響く。


この声は間違いなく、さっきまで俺を付け狙ってたゴルドーの手先の一人だ。


「──お前たちこそ何者だ」


キリッとした声でダルクが返した。


それに はっ、と鼻で笑って手先がダルクを押し退けこっちにやって来た。

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